2020年11月に購入したBMWのS1000RR(MパッケージのDDC付)。
約半年、2,500㎞ほど走行したのでレビューを書きたいと思います。
足つき性については次の記事にまとめていますので、気になった方はぜひチェックしてください。
2019年〜S1000RRの基本スペック
- 排気量 999 cc
- 最高出力 152 kW (207 hp) / 13,500 rpm
- 最大トルク 113 Nm / 11,000 rpm
- 最高速度 305 km/h
- 燃料消費率 / WMTCモード値 (クラス3)、 1名乗車時 15.62km/L
- 燃料種類 無鉛プレミアムガソリン
- リム、フロント 3.50 – 17″
- リム、リア 6.00 – 17″
- タイヤ、フロント 120/70 ZR 17
- タイヤ、リア 190/55 ZR 17 200/55 ZR 17 (M鍛造ホイール、Mカーボンホイール装着車)
- シート高、空車時 824 mm (ローシート 814㎜)
- 燃料タンク容量 16.5 L
- 全長 2,070 mm
- 全高 1,160 mm
- 全幅(ミラー含まず) 740 mm
- 車両重量(走行可能・燃料満タン時) 200 kg (M Package 196.5 kg)
2019年〜S1000RRの装備と機能
2019年〜S1000RRの装備と機能をご紹介します。
メーター
メーターは今時のバイクらしくフル液晶です。
明るいところでも暗いところでも、見えにくいといったことは全くありません。
ナビ代わりとして取り付けるスマホの方が太陽の光などを反射してよっぽど見えにくくなってしまいます。
操作は左側のハンドルにあるマルチコントローラーと呼ばれるダイヤルを回したり傾けたりすることによって行います。
走行中表示する画面は通常画面の他
サーキット走行用画面が3種類用意されています。(一般道の走行でも表示可能)
この画面では、スピードメータやタコメーターの他にブレーキの減速度、DTC(トラクションコントロール)の効き具合、バンク角度が表示され、それぞれの最大値はエンジンキーをOFFにするまで記録されています。
また、車両の状態を表示させる画面や
トリップメーターなどの数値を表示させる画面も用意されています。
機能が多すぎるので、たまにマニュアルを読むと、こんな機能があったんだ!と思うことが多々あります^^;
グリップヒーター
リッターSSでもグリップヒーターが付いているのがBMWっぽいですね。
右側のハンドルにグリップヒーターのON/OFFボタンがあります。
温度調整は3段階。ボタンを押すたびに、温度が低→中→高→OFF、となります。
2021型のR1250GSは、この年のモデルからシートヒーターが標準装備されたことからグリップヒーターのON/OFFボタンを押した後に左側のハンドルにあるマルチコントローラーを使ってグリップヒータとシートヒーターの選択、温度調整と操作が複雑になってしまいました。
九州北部沿岸の真冬だと、グリップヒーターの設定温度を最大に設定しておけばカウルによる風のまきこみが少ないため夏用のグローブでも十分耐えられます。
クルーズコントロール
こちらもBMWっぽいですね。
九州に住んでいると高速道路以外ではあまり使い道はありませんが、クルーズコントロールをセットしておけばアクセルを回す必要が無いので手首の負担がかなり軽くなります。
設定はOFF/ONスイッチを右側にスライドし、SET/RESレバーを奥側(車両前方)に倒すだけです。
速度の調整はレバーを手前に1回倒すごとに1km/h減速。奥に倒せば1km/h加速。
クルーズコントロールの解除方法は、ブレーキ(前後)、クラッチ、シフトチェンジ、アクセルを奥に回す(全閉から加速とは逆方向に回す)のいずれかの操作をすると解除されます。
ETC
現行モデルのBMWのバイクは全車ETC搭載です。
S1000RRも当然搭載されていて、リヤシート下に設置されています。
アクセスはキーを使ってリヤシートを外すだけ。非常に簡単です。毎回ETCカードを抜き差ししても苦になりません。
ETCのインジゲーターはスクリーンの裏に取り付けられています。(ひょっとしたらディーラーによって取り付け場所が違うかもしれません)
ETCのインジゲーターランプはちょっと見ずらいですね。特にカードが差し込まれているときに表示される緑色のランプが明るいところでは見ずらいですね。
収納スペース
ETCの本体が設置されているところにしか収納スペースはありません。
車載工具と車検証、自賠責保険を入れるとそれ以上の物を入れるのはほぼ不可能といっていいでしょう。
ホイール
Mパッケージにはカーボンホイールが標準装備されています。
エアーバルブは外を向いているので、エアゲージはストレートチャックが取り付けられている物が使いやすいです。
わたしはブリヂストンのレーシングエアーゲージを使っています。バイク用のエアーゲージとしては最適なので、気になった方は次の記事をチェックしてください。
2,500㎞ほど走って感じたこと
2,500kmほど走っての感想ですが、あくまでも一般道を走行をしての感想だということをご承知おきください。
エンジン
パワーについては言うことは全く無いです。一般道だけ走行するのであれば、これほどのパワーは全く必要ないとわたしは思います。
ただ、最大パワーは使わないにしろ、これだけパワーが有ると乗っていて楽しくないはずはありません。
また、一般道を走行しているときの危険回避の方法として、パワーを使って前に逃げる、例えば、横から飛び出してきた自動車を避けるのにブレーキでは間に合わないけどアクセルを開けて前に進めば何とか事故を避けられる、といった危険回避の選択肢が増えることはパワーが有るメリットの一つだと思います。
最高回転数が14,600rpmと高回転型のエンジンです。
だからといって、パワーの出方が唐突かというと、そんなことは全く無く、また、低回転ではパワーが出ないかというと、これまた全くありません。
アクセルを開けると開けただけパワーが出てくる感じで、パワーの山や谷は感じられません。
低回転も素晴らしく、3,000rpmも回していれば街中では十分なパワーが得られます。
停車からのスタートは、うまくクラッチを使えばアイドリングからスタートできます。平坦な道路であれば。
ですので、エンジンが扱いづらくて街中では乗りにくい、といったことを感じたことはありません。
それに、エンジンを全開にしても不快な振動が出ないのも素晴らしいところです。
また、シフトカムと呼ばれる可変バルブタイミングシステムが搭載されていて、9,000rpmを境にハイカムに切り替わるのですが、正直いつ切り変わっているのか全く分かりません。それほどスムーズにカムが切り替わり、パワーの継ぎ目を感じません。
ちなみに、新車で購入すると初回の1,000㎞点検を受けるまでは慣らし段階ということで、レブリミットは9,000rpmに設定されています。
DDC(サスペンション)
わたしが乗っているS1000RRはDDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール)というセミアクティブサスペンションが搭載されている仕様です。
ノーマル仕様のサスペンションは試乗車でほんの少ししか乗ったことが無いので、ノーマルサスペンションとどれくらい違いがあるかはわかりません。
ですので、どれくらいDDCの効果があるのかは不明です。
ただ、言えることは、リッターSSにしては思いのほか乗り心地は悪くないな、ということです。
このようなSSですのでサスペンション自体は非常に硬く作られています。わたしの体重(バイク用の装備を着て65㎏くらい)だと乗ってもサスペンションは1㎝も縮みません。
※ サスペンションのプリロード調整はできますが、つるしの様態でいっぱいまで緩められています。
サスペンションが硬いので路面のギャップは当然拾うのですが、小さなギャップはDDCが上手くいなしてくれているようで、あまりコツコツした振動を感じません。
ですので、小さな振動で疲労がたまる、といったことは無いように思えます。
DDCの有りと無しでは約110,000円の価格差です。サーキットでの走行がメインで厳密にサスペンションを調整するとか、今後サスペンションを交換する予定といったような特別な理由がない限り付けていた方が満足度は高いと思えます。
ハンドリングのフィーリング
吸い付くように曲がっていきます。他のリッターSSにまともに乗ったことがないので比較はできないのですが、かなり素直なハンドリングではないかと思います。
見た方向に素直に曲がっていく、そんな感じです。
ただ、フロントタイヤの接地感は希薄です。流して運転しているときは。
しかし、積極的にフロントに荷重をかけるような運転をすると一変します。
コーナー手前でしっかりブレーキをかけてあげたり、前輪に体重がかかるようなライディングフォームを取ってあげると驚くほどフロントが安定します。
ですので、体重の軽いわたしの場合は上りより下りの方が前輪に荷重がかけやすく、楽しく安定させて走ることが出来ます。
BMWのバイクは、どの車両も全体的にそのような傾向にあるように思えます。
また、サスペンションが硬いおかげでコーナー中にサスペンションを縮めにくく、そのためコーナー中にギャップを踏むとバイクの飛び跳ねを激しく感じてしまいます。
特に私のように体重が軽い方は、そのように感じやすいのではないでしょうか。
それと、コーナー中にアクセルを開けるとバイクが立とうとする力が強く、中途半端な気持ちでコーナー中にアクセルを開けるとバイクが一気に立ちあがり、たちまちコーナーのアウト側に向かって行ってしまいます。
ブレーキ
前後とも握ったら握っただけ、踏んだら踏んだだけ効くブレーキです。しかも強烈に。
フロントブレーキををちょっと強くかけるとリヤが浮いてしまいそうなくらい効きます。
また、ABSがよく出来ていて、よほどバイクをバンクさせていない限り、フロントブレーキを掛け過ぎてスリップダウンとかリヤブレーキを掛け過ぎてスリップといった心配をする必要は無いくらいです。
ですのでわたしの場合、ワインディングで遊ぶときリヤブレーキは目一杯踏みます。それでもリヤタイヤがロックすることはありません。
DTC(トラクションコントロール、ウイリーコントロール)
ウイリーコントロールが作動するほどワイドにアクセルを開けたことは無いのですが(わたしの技術では一般道でウイリーするほどアクセルを開けられません)、トラクションコントロールは素晴らし仕事をしてくれます。
ワインディングの走行後、コンピューターに保存されている走行データを見て見ると、トラクションコントロールが作動したことを示す履歴が残っていることがあります。
しかし、その作動したこと自体に全く気が付かないのです。それくらい違和感なくトラクションコントロールは作動します。
そして、トラクションコントロールが作動していないとリヤタイヤが滑って、おそらく転倒しているのではないでしょうか。
これくらいパワーが有ると、トラクションコントロールが有る方が安心して運転できます。特にウエットな路面やスリッピーな路面だと。
というか、綺麗な路面でもトラクションコントロールがないともはや運転できません。わたしの場合。
クイックシフター
アップ、ダウン対応のクイックシフターが標準で付いています。
アップもダウンも多少グニュっとした感じはしますが、それほど嫌な感覚ではありません。
また、高い回転数からシフトダウンしてもリヤがホッピングすることもありません。
基本的にどの回転数からもアップダウンできるのですが、街中を3,000rpmくらいで走っているときにシフトダウンをすると、ごくまれにシフトダウンされないことがあります。
ワインディングはもちろん街中でもこのクイックシフターがないと今はまともに走らすことが出来ないくらい頼り切っています。
また、シフトペダルは最初から逆シフトに対応しており、リンクの取り付け場所を変更するだけで簡単に逆シフトになります。
クラッチ
ワイヤー式のためか、若干重たいです。
人差し指と中指の2本で操作できなくはないですが、長時間だどかなり疲れます。ですので、通常は薬指を足した3本の指で操作しています。
R1250GSも乗っていますが、こちらの方が油圧式のクラッチのためか軽いですね。
半クラッチの操作性、操作感もR1250GSの方が良いです。
とは言え、SSにクラッチの操作性、操作感を求める方が間違っているようにも思えますが。
ただ、街中での運転でクラッチ操作に苦労するほどではないことは付け加えておきます。
燃費(航続可能距離)
燃料が満タン状態での航続可能距離はツーリングくらいのペースで走って200㎞弱といったところでしょうか。
燃費はワインディングを挟むと14~15km/l程度です。
燃料はもちろんハイオク仕様です。
もっとも、この手のバイク(というか、趣味で乗るバイク全て)に航続距離や燃費を求める方がナンセンスだとわたしは思いますが。
運転姿勢
前傾姿勢はやはりつらいですね。他のリッターSSと比べると前傾姿勢はましな方と言われていますが、このバイクに乗りたての頃は1時間もすると肩から背中にかけてが痛くなり、腕もだるくなっていました。
前傾姿勢がキツイので、一般道での一旦停止の後の左右確認や、遠くを見ながら周りの車の動きを注意するような運転がしずらいですね。
また、身長が低い(162㎝)わたしにとってはハンドルまでが少しですが遠いと感じます。ですので、常にタンクにくっついて運転している感じです。ただ、ハンドル幅は広いとは感じません。
運転姿勢とはちょっと関係ありませんが、小回りをしようとハンドルフルロックでのターンをさせると、ハンドルを握っている手とタンクが当たり(ストッパーが有るので手が挟まれることはありません)、アップハンドルのバイクばかり乗っていたわたしはその瞬間に焦ってしまいます。
とくに右回転だと、タンクに手が当たるとアクセルを開けられなくなり、転倒のリスクが増えてしまいます。
ですので、右回転をするときはアクセルを開けやすいように、初めからアクセルの持ち方を工夫するようにしています。
排熱
排熱は決して少なくはないです。真冬でも渋滞に巻き込まれるとあっという間にラジエーターのファンが回り始めます。
ファンからの熱風は直接足に当たりにくくはなっていますが、まだ真夏にこのバイクで走ったことが無いので想像での話になりますが、真夏に薄手のジーンズでの運転は不可能に近いように思えます。
また、真冬でもシートヒーターが付いていたかな?と思ってしまうほどシートまで温かくなります。
旧型のS1000RRはフレームが熱くなって夏場は革のパンツをはいていないと運転できないとのうわさを聞いていますが、新型ではフレームはそれほど熱くはなりません。
まとめ:
【レビュー】新型(2020年式)BMW S1000RR~一般道だけの感想。装備の紹介も~
60歳までには一度はリッターSSを、と思って購入したS1000RR。
いろんな意味で購入してよかったな、と思っています。
手に入れて一番良かったな、と思いうのが48歳で初めてリッターSSのこのバイクに乗ったこと。
60歳を過ぎてから初めてのリッターSSでこのバイクを選んでいたら、化け物のようなパワーと拷問かと思う運転姿勢に嫌気がさし、数か月で手放すだろうな、と。
ただ、このバイク1台でワインディングからロングツーリングのツーリングまで何でもこなそうと思うと、それはなかなか厳しいのではないかと思います。
やはり、運転姿勢が一番のネックになると思います。
とは言え、アクセルを開けると魂が置いてけぼりになってしまうような加速。地面にこんなにも近づくことが出来ることを気づかせてくれるコーナリング。一度味わうと病みつきになってしまいます。
と、お高いバイクの話題が出たところでちょっと話が横道にそれますが・・・。
警察庁の発表によると、2020年の1年間でバイクの盗難は全国で9,018件。検挙率はたったの16.5%しかありません。
ちなみに2018年の盗難件数は20,184件でしたので、それに比べれば減ってはきていますが、これは新型コロナウイスの蔓延が影響しているようです。
近年のバイクブームを考えると、今後も盗難件数が減っていくとは、少し考えにくいのではないでしょうか。
つまり、バイクの盗難は思いのほか身近にあると考えていいのではないでしょうか。
そのように考えると、バイクの盗難に遭ってしまった後のことも考えておいた方が良いのかもしれませんね。
では、みなさんの参考になればうれしいです。